日本心理臨床学会 第38回大会 自主シンポジウム
海外日本人学校等への相談活動(8)
-海外生活における子どもの発達障害に関する相談-
2019年6月6日 パシフィコ横浜

発表概要

 With Kidsの活動の中心は、海外生活者からの日本語でのメール相談であり、その相談の中で最も高い割合を占めるのが、子どもの発達に関する保護者からの相談である。

 本自主シンポジウムにおいては、海外で育つ子どもの発達に関わる相談の特徴と、メールを用いた対応の課題について検討を行っていく。

 まず1つ目の課題として、アセスメントに関する問題を取り上げ、保護者の視点から提供される文字情報のみを用いて問題を見立てることに伴う困難や留意点について検討したい。

 2つめの課題として、相談者に対して行う、助言や情報提供について考察を行いたい。

 特に日本に帰国して診断や療育を受ける選択肢がある場合と、海外生活が継続される場合とでは、必要とされる情報提供や助言は大きく異なる。また問題の状況や渡航地によっても、メール相談によって可能な援助内容は変わってくる。

 さらに近年、発達障害の疑いのある子どもとともに、海外渡航を予定した保護者より、渡航先での就学環境について相談を受けることも増えている。渡航前、滞在中、帰国に向けて、それぞれの時期で求められる対応についても検討を行いたい。

 インターネットの広がりにより、世界中どの国で子育てを行っていても、ネット上の情報には等しくアクセスが可能である。しかしながら専門的な療育や支援、就学環境における配慮といった、実際の援助となると日本と海外とでは、利用可能な資源に大きな隔たりがある。こうしたギャップを埋める存在として、With Kids がメール相談という方法を通じて担える役割と限界とを、改めて見直していきたい。

 

 もくじ

Ⅰ.With Kids とは

Ⅱ.With Kidsの出会う発達に関する相談の概要

Ⅲ.発達に関する相談に対してメール相談ができること

Ⅳ.討議