日本心理臨床学会 第36回大会 自主シンポジウム
海外日本人学校等への相談活動(7)
-With Kids が出会う国際結婚-
2017年11月18日 東洋大学

発表概要

 With Kids-海外に暮らす子ども達の心の健康をサポー

トする臨床心理士の会―は 2006 年に、臨床心理士のボラ

ンティア・グループとして活動を開始した。

 活動の主な目的は、その名称の通り、海外で暮らす子ど

もたちの心の支援である。これまで子ども本人からは勿論

のこと、海外での子育てに悩む保護者や、学校現場で対応

に苦慮する日本人学校の教職員などの相談に対応してき

た。海外からの相談であるため、対応の主な手段は電子メ

ールである。さらに実際に国外に出向き、日本人学校等を

訪問して個別相談等の活動も行ってきた。相談を担当する

メンバーの多くは、海外での生活経験を有する。現在も、

世界各地で駐在生活を送りながら、活動を支えているメン

バーもいる。

 活動全体に関する報告は、これまでにも本学会で行って

きた。今年度の自主シンポジウムにおいては、駐在等の一

時的な海外滞在のケースではなく、日本国外に暮らす「国

際結婚家庭」について取り上げる。夫婦のいずれかが日本

人の家庭において、海外での子育てにはどのような悩みや

問題が生じやすいのか、対応においてはどのような点が課

題となるのか、これまでの活動を踏まえながら、検討を行

っていきたい。

 メール相談は日本語を介して行っているため、国際結婚

家庭からの相談は、日本人の母親、または父親からの相談

が多い。対して、海外訪問時の個別相談においては、外国

人配偶者側から相談を受けることも希ではない。

 国際結婚の家庭の場合、日本への帰国の選択肢の有無な

ど、子育ての問題への対応において駐在員家庭とはまた異

なる事情がある。さらに、家庭内での使用言語の問題など、

こどもの発達の問題を考える際に留意が必要な、国際結婚

家庭特有の状況もみられる。

 当日は、指定討論者を交え、フロアからご意見も伺いな

がら事例理解を深め、今後の活動に生かしていきたいと考

えている。