発表概要
親の海外赴任や移住に伴って海外生活を送る子どもたちがいる。With Kidsは、それらの子どもたちや家族から寄せられるメール相談への対応を主な活動として行ってきた。
メール相談の中で少なくない割合を占めているのが、不登校や登校しぶりの問題である。海外在住中にこれらの問題を抱えるとき、取り巻く状況や支援のリソース(相談機関や子どもの居場所)には、国内とは異なる特徴や課題がある。
海外で不登校や登校しぶりになったとき、あるいは学校側から退学や停学を言い渡されたとき、現地で子どもや家族が利用できるリソースは非常に限られる。日本語でのサービスは皆無の場合も多い。つまり家庭外では過ごせる(通える)場所がないということになってしまう。
国によっては、不登校についての考え方や法的扱いが日本とは異なっている。医師による診断書がないと長期欠席ができず、学校に行かせる義務を怠ったとして親の責任が問われることがある。制度の違いが親の戸惑いや焦りを招くこともある。
不登校が長期化する場合、親の駐在期間の短縮や母子のみの帰国も検討せざるを得なくなるなど、家族全体として問題に向き合うことの必要性は、国内以上に大きくなると考えられる。
本シンポジウムでは、これまでWith Kidsが受けた相談ケースから見えてくる特徴や課題を概観する。相談者との限られたやり取りの中で、回答にどのような点を盛り込むか、架空の相談例を見ながら、有
益な支援について検討していきたい。
もくじ
Ⅰ.With Kids とは
Ⅱ.日本の教育制度
Ⅲ.各国の学校事情
- アメリカ・フランス
- ドイツ
- シンガポール・香港
- インドネシア
Ⅳ.不登校の背景
Ⅴ.メール相談への回答
Ⅵ.指定討論者から (村上裕子先生)